「ああ言えばこう言う」の意味は?
まずは、「ああ言えばこう言う」の言葉に含まれた意味を解説します。
理由をつけて他人の意見・忠告に従わない
「ああ言えばこう言う」は、人の意見・忠告に理由をつけて従わない様子を表したことわざです。仕事などでアドバイスを求められたから答えたのに、「それは違うと思う」のように言い返されると、気持ちがいいものではありませんよね。
人の意見・忠告を受け入れようとせず、言い訳をして逆らう場合に「ああ言えばこう言う人だね」と表現するケースがほとんどです。よく似た表現としては「屁理屈をこねる」「売り言葉に買い言葉」などが挙げられます。どちらも素直に意見を受け入れられない様子を表し、扱いにくい人のことを周囲の人が表現する言葉です。
ああ言えばこう言う人の特徴
「ああ言えばこう言う人」によくみられる言動を紹介します。
人の話を最後まで聞かない
大きな特徴は、人の話を最後まで聞かないことです。常に自分が会話の中心にいたい、という気持ちが大きいからと考えられます。そのため、相手の話を聞いてから自分の意見を話すという、会話のキャッチボールが成立しにくい傾向にあります。
人の話をさえぎって自分の話を始め、相手を疲れさせてしまうのも、よくあるケースです。相手の気持ちより自分の気持ちを優先した返答により、無神経な印象を受けるケースも少なくないでしょう。
プライドが高い傾向にある
アドバイスを素直に受け入れられず反論してしまう背景には、少なからずプライドの高さが関係していると推測されます。自分の間違いを認められない故に、感情的な反論や、屁理屈などを並べて正当化しようとするためです。
人の意見を受け入れられないプライドの高さは、自信のなさの裏返しとも考えられます。自信がないために、好意的であってもアドバイスが自分への攻撃と思い込み、相手に敵対心を抱いてしまうのでしょう。
否定的な言葉をよく使う
他者の意見や忠告を素直に受け入れられない人は、マイナス思考な人が多いといえます。物事を悪い方向に捉えがちで、「でも」「だって」のようなネガティブな言葉を頻繁に使う傾向にあります。「話題の中心でいたい」という思いから、アドバイスを求められていないのに、相手の考え・意見を否定するのもよくあるケースです。
グループの話し合いがまとまりそうなタイミングで「でも」と反対意見を述べて雰囲気を悪くする場面も。否定的な言葉を並べて「話していると疲れる」という印象を与えてしまいがちです。
ああ言えばこう言う人とうまく付き合うには?
何を言ってもスムーズにいかない人と付き合うには、内面を理解した対応が大切です。ああ言えばこう言う人の心理を踏まえた対処法を解説します。
感情的に反論するのは控える
うまく付き合うポイントは、感情的に言い返さないことです。このタイプの人は根底には「自分を正当化したい」という強い思いを持っています。そのため、その人の意見が間違っているからといって、感情的に反論するのは逆効果です。
「誤りを正してあげよう」というような親切心も通用しないでしょう。間違いを受け入れるどころか、自分の正しさを証明するために、さらに感情的になるケースが多いものです。感情的になるあまり、心が傷つくような言葉をストレートにぶつけられる可能性も。こちら側からの感情的な反論は控えるようにしましょう。
満足するまで話を聞いてあげる
ストレスにならない範囲で、相手が満足するまで話を聞いてあげるのもおすすめです。ああ言えばこう言う人の自己主張の激しさからは、「話を聞いてもらいたい」「自分を理解してほしい」という思いがうかがえます。
意見や忠告に対して反論しがちな人にとっては「相手を打ち負かす」ことがゴールの場合も。ひとまず最後まで話を聞き、相手の競争心を満たすのも一つの方法です。相手に「言い分が伝わった」と満足させてから、冷静にこちらの意見を伝えると、感情的な言い争いを避けられるはずです。
褒めて承認欲求を満たす方法もある
ああ言えばこう言う人とうまく付き合うには、褒め言葉で返すのも一つの方法です。一方的に正論をふりかざす言動は、自信のなさの裏返しとも考えられます。自信がないために一方的な競争心を抱き、相手の意見を否定することで優位に立ちたがる傾向にあります。
「新しい視点ですね」のような当たり障りのない褒め言葉で、承認欲求を満たすのもよいでしょう。褒め言葉で相手の気分がよくなると、敵対心が和らぐ可能性も高まります。
ある程度は聞き流す
自分中心な発言は、ある程度は聞き流す工夫も大切です。自分中心の発言をするときは、物事の道理よりも自分の評価を優先する傾向にあるため、言い分をまともに受け止めるとストレスがたまる恐れもあります。
とはいえ、相手が「話を聞いてもらえていない」と感じるような、あからさまな態度は控えるのが無難。相手にしてもらえていない不安から、反論がヒートアップする可能性も考えられます。話の合間で適度に相づちを打ち、聞き流していることを気づかれないように会話をコントロールしましょう。
ああ言えばこう言う人と円滑な関係を築くアイデア
特に、ああ言えばこう言う人と日常的に関わる場合は、円滑な関係を築くことも大切です。最後に、このタイプの人とのコミュニケーションに役立つアイデアを紹介します。
アンガーマネジメントを取り入れる
言動にイライラするときには、アンガーマネジメントを取り入れるのがおすすめです。1970年代にアメリカで誕生したとされるアンガーマネジメントは、怒る必要がない場面において、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングです。
特に、アンガーマネジメントの「6秒ルール」は、言動にカチンときたときに役立ちます。怒りのピークが継続するとされる6秒間を、別のことでやり過ごし、冷静さを取り戻そうとする試みです。6秒間に設定されている理由には、怒りのピークが継続するとされる時間が挙げられます。
6秒間の過ごし方には、ゆっくりと深呼吸をするほか、心の中で「大丈夫」「大したことない」とつぶやく方法も。目に入ったペンの形や、窓から見える人の様子など、怒りとは別のことに注意を向けるのもおすすめです。6秒間が経過しても怒りの感情がおさまらないときには、場所を移動して気分転換をするようにしましょう。
相手の長所に目を向ける
基本的にマイナス思考なケースが多いので、短所ばかりが目立ちやすいのが難点です。ただし、物事に裏・表が存在するように、人間にも長所・短所の両方があります。また、長所・短所という評価は、その人が持つ価値観にも少なからず左右されます。そのため、同じ特徴を短所と受け取る人がいる一方、長所として評価する人も存在するのです。
例えば、ああ言えばこう言う人のアドバイスを聞き入れない難点も、自分の意見をしっかりと持っているという長所に言い換えられます。「話が通じない」と決めつけず、仕事以外の話をしてみたり、共通点を探したりする工夫をしてみましょう。相手の長所を見つけることで、嫌悪感も和らぎ、ストレスの軽減にもつながるはずです。
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